【妻、小学生になる】あらすじ・考察・感想・要約・学びまとめ

  • 新島圭介は妻を愛する愛妻家。そんな最愛の妻を突然事故で亡くす。その後は完全に生きる気力を失い、無気力な日々を過ごす。
  • 新島圭介・貴恵の娘、麻衣は母親を失ってから父親同様、無気力な日々を過ごす。20歳になっても仕事をする気力もわかない。
  • そんな無気力な二人の家に突然、小学生が訪ねてくる。「ただいま」「わたしは新島貴恵、あんたの妻、麻衣の母親」と。
  • 「生まれ変わり」というファンタジー設定の中で描かれるリアリティのある日常。強い夫婦愛、親子愛をみて、幸せな家族、夫婦関係、親子関係とは何か考えさせられる。
目次
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    1話のあらすじ・要約 幸せな家族の終わりと始まり

    新島圭介は、10年前に最愛の妻・貴恵を亡くす。圭介は妻のいない残りの人生を“余生”だと思って生きている。何の生きる喜びも感じられない。全く生気が感じられないため、周囲からは陰鬱な人として見られている。たった一人の家族である一人娘の麻衣の幸せを誰よりも願っているが、生活費を稼ぐ以外何もしてやれていないことが心苦しく、会話すらうまく取れていない。二人の時間は、妻、母親が亡くなったあの日、10年間止まってしまっていたのだ。

    同じ家に住みながらも交流のない父と娘。そんなある日、ランドセルを背負った見知らぬ女の子が二人の家を訪れる。「ただいま」「わたしは新島貴恵、あんたの妻、麻衣の母親」と言う。

    最初は信じられないものの、貴恵しか知らない記憶を語り出す小学生。信じられないが、妻のようだ。突然の別れから10年、妻はこの世に生まれ変わっていた。止まったままの家族の時間が、再び動き出す。

    最愛の妻・夫・娘

    君と出会ってから、僕の人生の主人公は君だ。

    片付けられなかった。貴恵の持ち物、何一つ。彼女が見つけた家なんだ。とても古かったんだけど、貴恵が自分でリフォームして。キッチンのタイルも、玄関のランプも、一つ一つお気に入りのものを見つけて。昔言われてね。美味しいコーヒーくらいいれられるようになってって。それで研究したんだ。粉のグラム数、お湯の温度、気温、湿度。貴恵が美味しいと言った日、不味いと言った日、メモしてグラフにしたら彼女は呆れて笑ってた。

    この先もきっと、変わり映えのない毎日を生きて、そして死ぬと思う。なんにもいらないんだ。趣味もやりがいも夢も新しい人生も。みんなが普通に話す。10年も経てば、普通に彼女のことを過去形で。僕にはそれができない。できるわけがない。・・・貴恵がいなくなってからの僕の人生は「余生」なんだ。

    怒らないであげて。お父さんはただ、ママのことすごく好きだったんだよ。今でも大好きなんだよ。

    ごめんね麻衣、二十歳の誕生日お祝いできなくて・・・バースデーケーキと麻衣の好きな唐揚げと、オムライスも作ってあげたかったのに。側にいてあげたかったのに。

    理想的な関係、その分、失った時の絶望は大きいものになる。完全と思える幸福の状態から、何の希望もない絶望の中に落ちる圭介。もう人生になんにもいらないんだと言う圭介。貴恵と出会えて、結婚できてもう後悔はないと。父親としては問題でも、それほどの恋愛を生きている間にできるのは羨ましい。

    たとえいつか終わりが来て、絶望に落ちるとしても、「後悔はない、出会えてよかった」と言える。そんな関係性が理想。

    埋まらない心の隙間

    うちのママは10年前に死んだ。それからお父さんと私はゾンビになった。生きてるけど、生きてない。そんな感じ。

    インチキでもなんでも、信じるものがある人は幸せなのかもしれないですね。うちの家族の信じるものはママだったの。そのママがいなくなって何したらいいのか、どこに向かったらいいのかわからなくなっちゃった。

    新島家にとって、中心はいつでも貴恵だった。そんな貴恵を失い、完全にバランスをなくしてしまう。妻が死んでからずっと下だけを見て生きてきた圭介。小学生の貴恵に顔を上げなさいと叱られ、久しぶりに前を見る。この瞬間から少しずつ、生活が変わり始める。

    悲しみを乗り越える

    もしかして私が死んでからこの10年、ずっとそんな顔で生きてきたの?地面ばっか見ても、美味しいものは落ちてないわよ。顔を上げなさいよ。

    言ってたわよね、私がいなかったら人生は余生。ふざけんじゃないよ、あんたがそんなんで麻衣はどうなるの?あなたの怠慢で麻衣の人生を道連れにしないで。・・・私がいなくても進んでいけるっていう姿勢を見せてよ。余生じゃなくて、今があんたの人生なの。もったいない生き方しないで、しっかり生きなさい。

    圭介は貴恵を失った絶望が深すぎて、無気力、無関心に。そんな圭介を見るたびに麻衣も母親の死を何度も反芻したことだろう。麻衣のことも考えろと圭介を叱る貴恵に麻衣が諭す。怒らないであげて、本当にお父さんはお母さんのこと大好きだったんだよと。娘もまた、最愛の妻の死という絶望を乗り越えられなかった父親の気持ちを理解する、しようとする。本当にいい家族だなと思った。

    2話のあらすじ・要約 妬ける心

    貴恵を亡くし、10年前から止まっていた新島家の時間が、再び動き始める。圭介は、小学4年生の万理華が貴恵の生まれ変わりであると確信する。人生が生き生きとしだし、職場でもついニヤける。そんな圭介を周囲は怪しく思うが、異動してきたばかりの上司・守屋は、親切で誰にでも分け隔てなく接する圭介に好感をもつ。二人はお弁当を一緒に食べる仲になる。ただ、圭介のスマホの待ち受け画像が小学生の女の子だったことが引っかかる。そのことを友達に話すと、その人はやばい人なのではと言われる。

    「18歳になったら結婚しよう」と小学生の貴恵にプロポーズした圭介は、その日の会社帰りに彼女が同級生の人気者、タケルから告白されているところに遭遇し、動揺する。

    貴恵の弟、友利がそれを目撃してしまう。圭介、麻衣、小学生の姿の貴恵にそれを問いただすと、貴恵が戻ってきたんだと返され、友利は全員頭がおかしいと思う。

    そんな中、麻衣にも変化が。麻衣は就職活動を始める。さらに、幼馴染の弥子に誘われて人生初の合コンに参加することになる。

    圭介と貴恵はデートがてら麻衣の就職祝いを買いに出かけるが、街で守屋とばったり会い、2人の関係を聞かれ・・・

    変わるタイミング

    君がいない間、僕は本当にダメな父親だった。麻衣には申し訳ないことをした。

    過去は過去、今だって、これからだって、ずっと父親でしょ。

    貴恵を失った喪失感が大きすぎて、麻衣としっかり向き合わなかった自分を悔いる圭介。そんな圭介に過去は過去、ずっと父親なんだからこれから頑張りなさいと勇気付ける。

    嫉妬

    優しくて、天然で、ポンコツで・・・だから母性本能くすぐるから意外とモテる。本人は気づいていないんだから・・・妬けるわね。

    同級生に告白される貴恵、本人は気づいていないけど、同僚の異性に好かれる圭介。お互いに嫉妬する。

    圭介と結婚する前、貴恵はモテまくっていた。周りから地味な男、圭介と結婚したと思われていたが、貴恵は実は圭介は意外とモテると知っていたし、その圭介の良さを誰よりわかっていた。貴恵もまた圭介のことを理解し、ものすごく好きだったんだなっていうのがわかる。

    3話の要約・あらすじ 二度目のプロポーズ

    圭介はスマホのメッセージに反応がない貴恵のことが心配になり、仕事が手につかなくなる。昼休み、圭介の様子を心配した守屋が話かけるが、心ここにあらずな感じ。お弁当も持っていない圭介に、守屋は自分のお弁当を分けてあげる。貴恵がLINEに既読をつけると圭介は大喜び。守屋はそれを見て「可愛い」と思う。
    ホームページの制作会社に就職した麻衣は、先輩と一緒に初めて取引先へ行くことになる。小さな工務店を営む社長の息子・蓮司にパソコン操作を説明するが、初仕事で緊張のあまりうまくできない。しかし、一生懸命説明しようとする麻衣に、蓮司は好感を持つ。
    圭介はようやく貴恵と電話できて安心したものの、彼女にも何か事情がある様子。貴恵の今の両親のことを思うと、圭介と麻衣は複雑な心境になる。
    一方で貴恵は弟の友利のことが気になっていた。友利のアパートを訪ねると、10年前と変わらない汚い部屋、怠惰な生活をしている。貴恵は姉として友利を叱る。
    そんな中、圭介は家族3人での10年ぶりの日帰り旅行を提案。貴恵と麻衣との思い出の水族館へ行くことになる。

    奮い立たせ上手

    あんたには好きなことも、才能もあるんだから、もったいない生き方しないで、きちんと生活を立て直して、自分で自分を信じてあげるの。私はちゃんと知ってるわよ。あんたがやればできること。しっかりやんなさい。

    場所はあんたが考えておきなさいよ。退屈だったらしょうちしないからね。

    ま、それまでに私に他にいい人が現れなければの話だけどね、ライバルは多いわよ。

    貴恵は圭介、友利を励ます。良さをちゃんと私は知ってるから、頑張って、やればできるんだからと。それにより圭介も友利も生き生きとしてくる。

    圭介の魅力

    一緒にいると穏やかな気持ちになれるっていうかさ。仕事で凹んでる時とか新島さんと話していると味方でいてくれる気がしてホッとする。

    守屋さんが圭介に気持ちがあるのではと思う貴恵。守屋さんは圭介と話しているとホッとすると言う。複雑な心境になる貴恵。

    トップオブ頼りがい

    たくましくて、力がみなぎってて、太陽みたいで。頼りがいがあって、でもあり過ぎて。だからそれに甘えて、何もしなくなる。姉ちゃんは周りをポンコツにする。

    貴恵がいると周りが元気になる。圭介は生きる気力が完全に取り戻し、友利は部屋の掃除を始める。貴恵がいなくなって圭介が無気力になったように、友利もまた、貴恵の喪失を受け入れられずにいた。頼りがいのある人であればあるほど、失った時の喪失感は大きなものになる。ただこれは貴恵の責任とは言えない。残されたものがどう乗り越えるか、受け入れるか、その人次第になる。

    誕生日会と二度目の婚姻届

    君に心配ばかりかけてしまうけど、今度は、今度こそ、君が安心できるようにしっかりするから。だから一人で背負わないでくれ、頼りなくても頼ってくれよ。僕も麻衣も、今も変わらずに君の家族なんだから。

    寂しくなったらまたここに来てもいい?たまに甘えてもいい?だって私今、小学生なんだから。

    現在の母親との関係性に悩む貴恵。そんな中、圭介、麻衣に誕生日を祝ってもらう。自分の居場所を認識して涙する貴恵。

    映り込む幽霊

    インチキ霊媒師キャラと思われた寺カフェのマスターがガチで霊視能力があることが今話で確定しつつある。寺カフェのマスターが死者について話す時にその対象が画面に映り込んでいる。今話では亡くなった犬の話をしていたが、銀色のコップのようなものの蓋に犬が映っていた。あの場に犬がいるのは明らかに不自然だから明確な伏線。寺カフェのマスターは今後重要人物になってくるだろう。

    4話のあらすじ・要約 一人親と娘

    圭介と麻衣は、貴恵の生まれ変わりである小学生の万理華の母親・千嘉と偶然会ってしまう。万理華が機転をきかせて「友達のお父さん」と嘘をつく。圭介と麻衣からみて、千嘉は冷たそうに見えた。想像と違う母親に、圭介たちは、万理華の母親、貴恵の今の家族のことが気にかかる。翌日、貴恵の小学校で球技大会があることを守屋を通して知る。それを知った圭介は、千嘉も球技大会に行くに違いないと考え、彼女と一度ゆっくり話をしようと、貴恵に内緒で行ってみることにする。そこで、守屋に弁当作りを手伝ってもらう流れになる。

    一方、貴恵は同じクラスのヒマリと漫画の交換ノートをしていたことを知る。以前の万理華のように漫画が描けなくなっていることに気づき、漫画を描いていた弟の友利に相談する。

    そして、球技大会当日むかえる。突然やって来た圭介と麻衣に驚きながらもうれしそうな貴恵。しかし、圭介が待っていた千嘉の姿はない。

    今できることをやる

    いつか向き合わなくてはいけないことなら今向き合いたいんだ。この間ママに約束しただろ。甘えていいんだよって。できることがあるなら今、力になりたい。

    ママはいつも目の前のことに全力なんだ。そこが素敵なんじゃないか。

    迷惑だけど、嬉しかったわ。あなたと麻衣が応援に来てくれて。

    貴恵に内緒で球技大会に応援に行ってもいいか、悩む圭介と麻衣。誕生日会で甘えていいんだよと貴恵に言った圭介。できることがあるなら、今やろうとと言う。それを聞いて、私も行くと言う麻衣。

    心理学で人は長く考えれば考えるほど行動をしない理由を探すという。何かできることがあるのか自分に問う、あるのならやってみることだ。圭介の貴恵のためなら何でもやる姿勢はぐっとくる。

    ネグレクト

    何も知らないのに悪く言わないで。たった一人で私のこと育ててくれてるんだから。あなたは何もわかってない。正論ぶつけて何になるの?余裕がないだけなのよ、あの人。いつもいっぱいいっぱいで、疲れてて、相談する人もいなくて。

    他人じゃない。あなたが彼女を大事にしないなら、彼女は僕が引き取ります。

    離婚して辛い、余裕がない、仕事で疲れてるとしても、子どもが影響を受けるのはあってはならないと思う。親は子を持つことを選ぶ、子はどこに生まれてくるか選べない。親は親になるからにはちゃんと愛する、大切にする義務がある。それができないなら親になるべきではない。

    親になってから自分が子を大切にできないと気づいたなら、その弱さと向き合うことだ。同じような人がどう問題と向き合ってるのか調べてみたり、誰か相談できる人を見つけて、どうしたらいいか考える。真剣に向き合えば、絶対誰かが助けになってくれたり、糸口が見つかる。

    結局のところは他責癖と怠慢が負のループをつくる。妻子持ちの男を選んだのはその人自身。相談相手、仲間がいないのも、関係を持つのを避けてきた結果。どんどん余裕がなくなり、どんどん疲れ、どんどん子どもにあたるようになる。

    5話のあらすじ・要約 万理華の行方

    万理華に暴力をふるおうとした千嘉を圭介は家に勝手にあがり止める。圭介は千嘉の怒りを買ってしまう。そして、家から追い出されてしまった万理華は圭佑に対して勝手なことをしないでと怒る。

    翌日、麻衣のもとに仕事上のクライアントの蓮司から連絡があり、パソコンを買うので付き合ってほしいとお願いされる。

    麻衣はテラカフェで友達に蓮司のことを相談する。同じタイミングで守屋と詩織が別席で話している。テラカフェのマスターが引き合わせると、麻衣と守屋は、それぞれが圭介の娘・同僚であることを知る。

    一方、千嘉のことで悩んでいた万理華は、生まれ変わりのことを千嘉に伝えようと圭介に相談する。

    親である条件

    子供を大切にしない親を親だからという理由だけで大切にしようとするのは違うんじゃないのか。

    今までもそんなことを言っていたの?今までも娘にそんな言葉をぶつけていたの?子供が黙って聞いてるからって何も感じてないわけじゃないのよ。

    お母さんには一人で泣いてほしくない。私はお母さんの味方だから。それだけ言いたかったの。

    親なら子供に何をしても許されると思っている親がいる。子供を所有物と思ってる。自分で全てをコントロールできる権利があると勘違いしてる。

    余裕なく子供にあたる千嘉に対して、お母さんの味方だから、一人で泣かしたくないと言える貴恵は優しい。

    「あんたがいなければあんな男と結婚なんか。あんたのせいで私の人生めちゃくちゃなんだよ。もう消えてくんないかな。」千嘉の言葉だが、親として絶対言ってはいけない言葉。

    頑張る原動力

    うちの父、普段はぼーっとしてるんですけど、母のためならいくらでも頑張れる人で。そういう両親を見てると夫婦っていう関係はなんかいいなって思うこともあります。

    見つけたいんです。白石家も新島家も幸せに暮らせる方法を。白石万理華さんも、新島貴恵も、あなたも、平和ボケの鳩でいられるように。

    無限にその人のために頑張れる、そういうパートナーがいれば本当に幸せだなと思う。圭介と貴恵の関係は理想的で、それをみる麻衣にもプラスの影響を与えてる。

    6話のあらすじ・要約 守屋さんの恋

    千嘉は万理華が娘の万理華ではないと理解はした一方で、一緒に暮らしながら、どうコミュニケーションしたらいいかわからない。万理華も、貴恵としての記憶がおりてきた反動で万理華の記憶が薄れていることが辛い。圭介もなんとか千嘉の力になりたいが、いい案は見つからないでいた。

    その頃、圭介の会社では、守屋が企画した新商品のイベントが大成功する。ところが、発売前のトマト缶の商品画像が参加者によってSNS投稿され、計画していたPRが台無しになり、守屋が責められる形になる。落ち込む守屋を慰めようと圭介はご飯に誘う。

    また麻衣はクライアントの蓮司が気になる。麻衣が恋をしていると貴恵から聞かされた圭介は複雑な心境になる。問題がたくさんあって弱音を吐く圭介。貴恵はバーベキュー大会を開いて、みんなで気晴らししようと提案する。

    行動で示す思いやり

    新島さん、部長に掛け合ってくれたんだって。守屋さんの企画、いい企画だからもったいないって。

    なんでも話してください。なんでも聞きますから。

    圭介は思いやりを行動で示せる。貴恵や守屋の必要に気づいてすぐ行動できる。本当に辛い時、落ち込んでいるとき、周りの人がそういうことをしてくれると救われたような気持ちになる。

    クソ親の呪縛

    高校卒業して以来帰ってないの。高校三年間アルバイトして貯めたお金、母親に全部パチンコですられて。

    私最低の母親だった。だから万理華は私の前から消えちゃったんだと思う。

    前話まで万理華をぞんざいに扱う千嘉に怒りしかなかった。千嘉がクソ親に苦しんできた描写を見ると悪には見えなくなる。親が子に与える影響は根強い。良い親であれば、一生の財産になる。クソ親であれば一生重荷になることもある。乗り越えたと思ってもふとした時にその呪縛が出てくる。子供に呪縛をかけるような親になってはいけない。それは連鎖してしまうから。

    本当に最低な母親は一生、自分が最低の母親だと思わない、思おうとしない。いろんな手を尽くして自己正当化にはしる。千嘉は自分を最低と言える。ポジティブが連鎖するような家庭で生きていたら、陥った状況とは無縁の人だったのかかもしれない。

    それでも環境のせいにはできない。いかに環境が悪かったとしても千嘉が万理華にしてきたことは正当化されない。自分が育った環境が悪いと思うのなら、慎重にならないといけない。クソ親に育てられたと思うのなら自分を省みる時間を持つべき。あのクソ親のようになっていないか、自分を正当化していないか、振り返る時間を持とう。

    給食のプリン

    優しい妹さんね、お姉ちゃんに給食のプリン届けてくれるなんて。ご馳走さまって伝えておいたわよ。

    給食のプリンは小学生にとっては本当に大きなもの。僕が小学生の時、デザートの取り合いで殴り合いの喧嘩が起こっていた。プリンなんて、そんな給食のデザートの中の最上位に位置するようなシロモノ。そのプリンをお姉ちゃんのためにとっておき、病室に届ける守屋さん。本当に喜ばせようという思いがないとできない。お姉ちゃんは本当に嬉しかっただろう。

    7話のあらすじ・要約 さようならの前に

    圭介は守屋にキスされるところを貴恵に見られてしまう。以来貴恵は圭介のLINEを未読無視するようになる。

    圭介と麻衣は、友利から一緒に実家に帰ってほしいとお願いされる。夫が入院して1人になってしまった母・礼子の面倒を見るためだった。圭介はそのことを貴恵にも伝え、貴恵を圭介の親戚の子供ということにして妻の実家に向かう。

    出迎えてくれたのは、貴恵の従姉妹のもえこ。仲良しだった貴恵の思い出話をする従姉妹。貴恵は複雑な心境になる。そこに礼子がデイサービスから戻ってきて、貴恵は久しぶりに母に会う。貴恵の母は認知症になっていた。

    一方、麻衣は蓮司から沖釣りに行かないかと誘われる。

    変われる人と変われない人

    私という存在にまるで興味のない人だった。突然キレてものを投げつけられることなんてしょっちゅう、母親らしいことなんて一つもしてもらわなかった。結婚した後、どう調べたのか電話が来てね。こっちに出てくるって言うから会いに行ったの。馬鹿だった。「少しは余裕あるでしょ。お金貸して」って。こんな親には絶対にならないって何度も誓ったな。超絶幸せじゃなくてもいいから、普通の家庭があればいいってそう思っていたのに、結局この有様。

    わかるよ、ちかさんがこれまで頑張ってきたの。

    本当勝手な人でさ、わがままで、子供の頃から散々振り回されて。でもそういうこと全部忘れちゃうんだから。あんな穏やかな顔してさ。

    貴恵は優しいなと思う。たくさん振り回された母親。そんな母親が認知症になって再会して、「先に死んでごめんね」と言える。貴恵の葬式にも参加せず、子供を道具のようにこき使う人。友利の反応の方が当然な気がする。友利に対してボロクソに言ってくる親戚の人もどうかと思う。子供は親の道具ではない。子供をいい加減にぞんざいに扱ったのなら、相応の報いを受けて当然だと思う。

    心の支え

    でもさ、姉ちゃんが生きていた時さ、同じダメでも生きてていいんだなって思えて。あんたダメねって笑ってくれて、何とかなるわよ、大丈夫って。

    俺姉ちゃんいないと無理なんだって、姉ちゃんいないと無理なんだって。

    圭介同様に友利にとっても貴恵はかけがえのない人だった。あのまま貴恵が生きていたら友利はどうなっていただろう。漫画家になって、貴恵に支えられながらも活躍していたと思う。これほど人の支えになれるのはすごいこと。

    一緒に乗り越える

    お母さんのことは僕も一緒に考えるから、心配しないで。

    昔から肝心なとこだけ頼りになるのよね、あなたって人は。

    どんなに辛い、大変なことも一緒に考えると言ってくれる人間がいれば和らぐ。周りの人のピンチには必ず一緒に考え、力になろうとする圭介。友利や守屋に対しても同様に寄り添う。それは簡単なようで中々できることではない。親戚のもえこが「貴恵は圭介さんにベタ惚れだったからねー」と言っていた。肝心なところで頼れる人、一緒に考えてくれる人は人生において何より重要な資産だと思う。

    好きになれる奇跡

    誰かを好きになると、今までの自分になかったとてつもないパワーが生まれるじゃない。それってママが麻衣とお父さんの元に帰ってきた以上の奇跡だと思うな。

    突然、大切な人がいなくなって、夢でもいいから、帰ってきてほしいって。奇跡を願う気持ち、わかるから。

    釣りに誘ったのはさ、あいつに伝えたかったからで。俺もやっとそばにいたい人見つけたって。

    短い人生の中で出会える人の数は限られている。その中で本当に心から好きになれる人と巡り合い、好きでいられることは奇跡のようなもの。人は往々にして誰かに好かれることを願うが、それよりも誰かにGIVEする、好きでいることの方がより重要なんだと思う。

    十分な幸せ

    僕には貴恵がいて、麻衣がいて、それだけで十分なんです。この家族の幸せを生涯、大事にしたいんです。

    まだまだ未来は長いのよ。もっともっと新しい幸せを更新していきましょう。

    幸せな大晦日ね。

    自分にとって十分な幸せが定義されていない場合、渇き続け、新しい刺激を求め続ける。圭介にとっての幸せはシンプルではっきりしている。貴恵がいて、麻衣がいる。それが自分の幸せと。霊能力者が末長い幸せより、今を大切にと圭介に助言した。もしかしたら貴恵はまたいなくなるのかもしれない。その時、圭介の幸せはどうなるだろう。前のように絶望の淵に戻るのか。前向きに乗り越えられるのか。

    8話の要約・あらすじ 生まれ変わりの真実

    大みそかの夜に突然倒れた万理華は、貴恵としての記憶を失くしていた。母親の千嘉を見るやいなや走って逃げ出した後、再び倒れ、そのまま意識を失った。それを眺める幽体の貴恵。

    圭介と麻衣は、圭介や麻衣の記憶を万理華が失くしたことに不安を感じていた。翌朝、万理華が目を覚ますと万理華ではなく貴恵だった。貴恵の身に起きたこと聞いた友利は、生まれ変わりの小説を書いている出雲なら何かわかるかもと考える。

    圭介が会社の休憩室で出雲の小説を読んでいると、守屋が圭介の本を見て、週末に最終巻が発売されると言う。圭介は、本の発売記念イベントで出雲のサイン会があると知り、万理華、友利たちと一緒に行ってみることにする。そして、出雲の口から生まれ変わりの真実を聞くことになる。

    残酷な真実

    借りたものはいつか返さないと、本当の持ち主に。

    あなたと奥さんとはとっくに今世での縁を終えてるのよ。

    考えることね、あなたの奥さんがわざわざあなたの元に帰って帰ってきた意味を。

    娘万理華にもう一度会いたい千嘉。貴恵と離れたくない、圭介、麻衣、友利。皆と離れたくない貴恵。一つの体に一つの人格しか入れない。辛いジレンマ。このまま万理華が戻ってこなければ、千嘉はずっと苦しむことになる。寺カフェオーナーの「奥さんとはとっくに今世での縁を終えてる」という言葉は辛い。今世での時間は限られている。その時間を終えると会いたい人とも会えなくなるとしたら、より今生きている時間というのはどれだけ貴重か考えさせられる。

    別れの時

    私ずっと、死んでからもずっとこの家に来てた。もう一度会って伝えたかった。しっかりしなさいよって、元気だしなさいよって。でもそれは叶わなかった。あの日、万理華ちゃんはパジャマのまま夜の公園で泣いてた。・・・大晦日の日、きっと万理華ちゃんはきっと戻ってきたいから戻ってきたの。お母さんに会いたくて帰ってきたの。

    諦めたくない。絶対に諦めない。僕が探すから、絶対に見つけるから。白石万理華さんも、君も一緒に生きていける方法を。貴恵、僕は絶対に・・・それでも、もう二度と君を失いたくない。

    私がいなくても、自分の力でしっかり生きるのよ。信じてるから。

    きつい。きつい回。事故で突然亡くなってからも圭介と麻衣が心配で近くにいた貴恵。10年もの間、ゾンビのように生活する二人を見て、なんとかして元気付けてあげたかった貴恵。

    どんなに良い家族を築いても終わりがくる。だから生きている「今」をどれだけ貴重ととらえ、大切にできるか人生に問われている。

    9話のあらすじ・要約 永遠の別れ

    貴恵の存在が消えた。圭介と麻衣は再び悲しみのどん底に落ちる。

    体に憑依していた貴恵が消えたことで、万理華は自分の人格を取り戻し、母である千嘉との生活が始まる。貴恵が憑依していた時の記憶はほとんどない。

    出社した圭介は心ここにあらずの状態、そんな圭介を守屋が気に掛ける。麻衣は無気力の状態に戻り、蓮司からの連絡も無視する。蓮司は心配して新島家を訪ねて来る。友利もまた、春から高校生になるという出雲を応援しながら、貴恵を再び喪失したショックを堪えきれない。

    貴恵がいなくなり、皆、元の状態に戻ってしまいそうになる・・・

    乗り越える

    麻衣を励ますより、哀しみに浸ることを優先させた。ただ生きているだけの生活に麻衣を巻き込んだ。・・・本当はママが亡くなった10年前に、父さんこうやって、麻衣と話さなくちゃいけなかった、ママがいなくても。二人で一緒に生きていく道を探さなくちゃいけなかった。・・・これからは失くしたものではなく、ママがくれたものを見つめて生きていかないか。

    貴恵がいなくなり、圭介も麻衣も元の状態に戻ってしまいそうになる。ただ圭介はこのままではダメだと思う。貴恵が戻ってきてくれた奇跡を無駄なものにしてしまうと思う。落ち込む麻衣を励ます。

    貴恵との時間はかけがえのない時間。喪失感に苦しみ生きるのではなく、貴恵がくれたものを見つめて、貴恵が笑ってくれるように、しっかり生きていこうと。

    どんなに大切な人とも別れの時はくる。その全てが悲劇としてネガティブなものとなるのは悲しい。難しいができるだけポジティブに捉え、また再び会える時を夢見て前進する。喪失した悲しみよりも一緒に過ごせた、いられた喜びを噛み締められたらいいと思う。

    最終話のあらすじ・要約 最後の一日の過ごし方

    貴恵が、再び万理華の体を借りて戻ってきた。その日は妻が死んでから10年後の結婚記念日。その日は家族で3人で過ごす最後の日となる。

    奇跡を経た圭介と麻衣。これからの人生は、貴恵がくれたものを見て、前を向いて歩いて行こうと決めた2人・・・

    日常を楽しくする天才

    ママはどんなことでも楽しくしちゃう天才だね。

    最後の1日に貴恵はまず家事をする。その家事も貴恵と一緒にやると楽しい圭介と麻衣。日常の些細なことまでも貴恵のように楽しくできるなら、日常もまた大切な思い出になる共同作業となる。

    貴恵がしたいこと

    ごっこじゃなくて言いますけど。俺麻衣さんしか考えられないんで、麻衣さんしか考えないんで。この先もずっと一緒にいたいと思っています。今はまだ未熟ですけど、ちゃんと地に足つけて、それで必ず麻衣さんを幸せにします。だからお父さん、お母さん、麻衣さんと結婚させてください。

    これから色々大変なことがあるかもしれないけど。思いもよらないことが起こるかもしれないけど。麻衣と一緒にいろんな幸せをたくさん見つけていってください。娘をよろしくお願いします。

    守屋さん、これからも圭介をよろしくね。

    家事を終え、貴恵は麻衣に何がしたいか聞かれる。貴恵は麻衣の彼氏の蓮司に会いに行こうとする。貴恵が再びいなくなり、麻衣は落ち込み、蓮司と連絡を取らなくなっていた。

    「娘をくださいごっこ」をしようとなって、いきなりごっこじゃなくて言いますという蓮司がかっこいい。それに対する貴恵の言葉も麻衣に対する思いが溢れでていた。

    さらに貴恵は守屋に圭介をよろしくと託す。最後の一日に圭介と麻衣がこれから幸せに生きてくれることだけを考える貴恵。

    最高のパートナー

    ずーと一緒だよ、ママはいつも父さんの心配をして、励ましてくれて。最初に会った時から。

    最初に会った時からいつも心配して、励ます。簡単なそうで、貫くのは難しいこと。圭介と貴恵が最高のパートナーとなれたのはお互いに二つのことを一貫して丁寧にできたからだと思う。

    妻の夢

    レストランを開きたいなって思って、君の夢だっただろう。

    レストランを開きたいという貴恵の夢を最後の1日に全力で叶えようとする圭介と麻衣。嬉しそうに料理をして提供する貴恵。最初で最後となるのが悲しい。

    圭介たちが学んだこと

    だめだ、後回しはダメだ、いつかじゃなくて、今やろう。

    「今」をいかに大切にするか。それがこのドラマの一番大きな問いだと思う。〜したいという思いは生じたその瞬間に最大の熱量を持つかもしれない。明日にしたらもう存在しないかもしれない。だから思った時にやる。良い結果にならなくても、その時間はいつまでも共有できる大切な思い出になる。

    贈る言葉

    25年前、あなたが夜食のハバネロミートボールを食べて、辛いってむせた時にね。あー、この人と作る家庭はあったかいんだろうなって思ったの。その通りだった。あなたが隣にいてくれて本当に幸せだった。

    どうせいつかはお迎えが来るんだし。それまでは美味しく、楽しく暮らしなさい。

    私に何もしてあげられなかったって言ってたけど、そんなことないのよ。麻衣が生まれてきてくれたその瞬間から、麻衣はいっぱい、いっぱいママを幸せにしてきてくれたの。今でも麻衣にはそういう力があるの。覚えててね。・・・ありがとう、ママの娘でいてくれて。

    もう泣くのはやめるね。ママに笑った顔見てて欲しいから。

    ママ、大好き。大好き。会いにきてくれてありがとう。

    ありがとう貴恵。帰ってきてくれて。ありがとう。僕の妻でいてくれて。

    娘でいてくれてありがとう。夫でいてくれてありがとう。妻でいてくれてありがとう。そう家族の全員が思えるような家族がいい。

    おわりに

    最初、このドラマを観るつもりはなかった。1話を観て、号泣してから、毎話楽しみで最後まで観た。色々なことを考えさせられるドラマだった。特に大切な人を、生きている限られた時間「今」をいかに大切にするか考えさせられるドラマだった。

    脚本、役者さんの演技、主題歌、全て最高だった。家族ができたりした時にまたもう一度観たいと思う。