鈴木祐「無(最高の状態)」を世界一わかりやすく要約してみた【本要約】
目次
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    精神機能を最高の状態に導くために必要なもの「無」

    • 現代人には苦しみが絶えない、苦しみから解放されるにはどうしたらいいか。
    • あらゆる苦しみに共通点を見つけた時、初めて対策ができる。
    • 人間の脳は幸福を感じることに特化してない。人間を幸福するように進化してない。生存、子孫を残すことに特化している。
    • 余計なことを考えず、現実を生き続けることが重要。
    • 必要な対策は無我に至ること。自己の強度を下げるトレーニングをすること。

    苦しみをこじらせるのは人間だけ

    • 人類は生まれつきネガティブ。ネガティブな情報に影響を受けやすい。
    • ネガティビティバイアス:辛い、苦しい経験ほど記憶に残りやすい。
    • 快楽の踏み車:ポジティブな情報ほど長続きしない。プラスの感情は一時的になる。宝くじ当選者のほとんどは当選直後にしか幸福度が上がらず、半年後にはほぼ全員が元の精神状態に戻っていた。
    • 幸せはいとも簡単に消え去る、苦しみは残りやすい。
    • なぜネガティブ優位になっているのか。生存に有利だから。生存するには臆病であることが重要になる。ネガティブな情報を敏感に察知し、記憶に長く保つことが最適解。
    • このネガティブ優位の状態は安全が増した現在には適用しなくなっている。結果、心の機能不全を起こしている。
    • 時代が新しくなるほど、原始の心が過敏に反応する現象に苦しんでいる。
    • チンパンジーのレオ:首から下が動かなくなった。ただ身体の痛み、空腹の辛さ以外の苦しみを表すことはなかった。人間のように未来に絶望して苦しみようなことはなかった。レオは絶望せず淡々とリハビリをこなして、一年で座れるようになり、3年後には歩けるようになった。
    • 哺乳類動物は人間のように苦しみをこじらせない。慢性的な不安や鬱、精神疾患が見つかった例はない。
    • ブッダの言葉:一般の人も仏弟子も同じ人間なので、仏弟子も、喜び、憂い、不快といった感情を持つことがある。しかし両者の違いは二の矢が刺さるか否かだ。
    • 最初の苦しみが一の矢、この苦しみからはどの動物も逃れられない。そこから悩み、不安が生まれ、何度も反芻して苦しみことで二の矢、三の矢が刺さる。
    • 反芻思考:ネガティブを脳内で何度も繰り返す。これはメンタルだけでなく、脳卒中などのリスクもあげ、死亡リスクが上がる。
    • 一の矢は短時間で終わる。そらせばその苦しみは終わる。苦しみを感じた時に分泌される神経伝達物質の効果は6秒間、何もアクションを起こさず待つ。負の感情に付随するドーパミンの持続期間は10分前後、別のことをしてそらせば過ぎ去る。
    • 二の矢をいかに起こさないかが重要。何かを強制されると二の矢が発生しやすい。それをそもそもやりたいと主体的に取り組むと二の矢は発生しない。この仕事をやれと言われてやるのと、やりたいと思ってやるのとでは違う。

    私たちは苦しみの根源となる「自己」がない状態を既に経験している

    • 現代の苦しみは苦しみをこじらせる「自己」から生まれる。自己を中心としてネガティブを増幅させる。自己が強い人ほど苦しみやすい。
    • 自己はあなたの内面に常駐する絶対的感覚ではない。特定の機能の集合体でしかない。
    • 自己はアーミーナイフのように様々な機能をまとめたパッケージ。生存に必要なメッセージをあなたに送る機能のパッケージ。記憶、自分の性格の要約、感情、私としての過去、現在の事実、実行の所有感など、機能を使用する時に自己が発生する。機能が出現する時に私たちは統一された唯一の私がいるように思い込む。
    • 自己は連続した絶対的存在ではない。つまり、自己が消えることは珍しいことではない。何かに没頭しているとき、仲間と盛り上がっているとき、お風呂でくつろぐとき、大自然の中でのんびりするとき、目の前にある世界に溶け込んでいるとき、自己の感覚なくなる。このような時、自己を起動させる必要はなく、過去や未来に思いをはせることもない。目の前の情報を処理するだけで済む。自己がなくても問題なく過ごせる。自己がなくても私たちは作動できる。
    • 自己は日常的に生成と消滅を繰り返している。

    無我を達成するためのスキル・停止と観察

    • 私たちの脳は物語を生み出すために生まれた器官。
    • 1、周囲の状況がどう展開するかについて事前に脳が物語を作る。
    • 2、感覚器官が受け取った映像や音声の情報を脳の物語と比べる。
    • 3、脳の物語が間違っていたところのみ修正して現実を作る。
    • 私たちが知覚する現実の大半は脳が生んだ物語で構成された世界のシミュレーション。脳が作ったシミュレーションの中を生きている。経験したこと全てを現実そのものだと思い込む。
    • 通勤するというシミューション。何も起こらなければ脳のシミュレーションが現実となる。道中何かが起こっていても気づかなければ、シミュレーションが現実のまま。シミュレーションと実際の現実は異なるが、シミュレーションを現実そのものだと思い込む。
    • 人間は物語の自動発生を止めることができない。人間は物語によって行動させられる自分を認識できない。この二つを解決する必要がある。
    • 物語と自分を切り離す。停止と観察を行う。
    • 停止:脳を他のことに働かせて、物語の製造機能そのものを止めてしまう。トレーニングとして止想を行う。脳内のイメージや呼吸など、特定の対象に意識を向ける瞑想。
    • 観察:脳内に浮かぶ全てのネガティブな物語を、科学者になったような気持ちでじっくりと見つめる。この観察のトレーニングによって、脳が生み出したシミュレーションを、現実ではないと認識できるようになる。
    • 観察のトレーニングには観想が有効。リラックスして座り、どの対象にも意識を集中せず、意識をさまよわせる。すると意識はどこかに向かう。頭がかゆいなど何かに意識がいく。そうしたら今自分の注意が頭のかゆみに向いたとだけ観察する。自分の注意の移り変わりを観察し続ける。決めた時間まで観察を続ける。最初は生まれた物語に対して主観的にあれこれ考えてしまうかもしれない。繰り返すうちにだんだんと心の迷いが減って、第三者目線で観察できるようになる。
    • 停止により、物語の強度を下げる、観察によって物語を現実から切り離す。
    • 脳が作り出す物語を客観的に観察できるようになると、杞憂の脅威に反応しづらくなる。

    「無」の境地へ

    • 精神機能の観察を続けると、次のステージへ行き、自己を構成してきた人生のあらゆる要素がまるで最初から自分とは無関係だったかのような感覚が現れる。経験や概念の中にフィクションがあることに気づく。
    • 全てが虚構であると知ることで、自己を規定する必要もなくなり、自己の強度が下がる。この時、無我に達したと言える。
    • どれだけ無我のトレーニングを積んでも生存するためのツールとして備わっている自己の起動を防ぐことはできない。
    • 無我に至ったとしても、自己は度々現れ続ける。ただ思考と感情から一旦距離をおけるので自己に振り回されなくはなる。二の矢を放つことはなくなる。
    • 過去の記憶、現在の地位、未来への期待から切り離され、一つの場として存在を続けるようになる。
    • 無我に至ると自分と世界を隔てる境界が消え、精神が拡大した感覚、一体感、安心感が生まれ、強い幸福感を抱く。
    • どんなに停止と観察を繰り返しても自己を完全に無くすことはできない。重要なことは自己に振り回されない状態に至ること。

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