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人間は自由になると強い不安や孤独感に襲われ、自ら自由を手放してしまう
- 誰もが自由でありたいと思う、しかし自由であると不安になり、自ら自由でない状況を選んでしまう矛盾。
- 自由には代償がある。その代償を払いたくない人間は自由から自ら逃走し、服従を選ぶ。
フロムという社会心理学者
- フロムが社会心理学を勉強したきっかけは第一次世界大戦。周りの知り合い、親戚が亡くなる中でなぜ人は平和を望みながら戦争をするのか、なぜ人間の集団行動はこんなにも矛盾だらけなのだろうと疑問に思った。
- 複数の大学を渡り歩き、学者の道を突き進んでいった。
- ナチスが登場。ユダヤ人の排斥運動を開始。ユダヤ人だったフロムはアメリカに亡命した。
- 第二次世界大戦の真っ最中に「自由からの逃走」を発表。その背景に戦時中蔓延していたファシズムへの警戒がある。一党独裁、言論統制が蔓延していた時代。
権威に服従したがる人間
- 人は自由のために戦った。多くの人が死んだ。この戦いに勝てば自由になれると思って戦った。あれほど自由が欲しいと叫び続けてきたのに、ナチスのような組織が現れるとあっさりと自由を捨てた。
- 民衆はナチスが怖いから従っていたのではない。自ら自由を放棄して支持した。
- ファシズムはどんどん広がっていった。
- 人には自由を求める欲望がある反面、服従を求める欲望もある。自由から逃走し、ファシズムへと傾倒した。
重すぎる自由の代償
- 中世ヨーロッパには自由がなかった。生まれた場所で役割が決まっていた。
- 個人的な自由はないが心の安定はあった。従っていたら普通に暮らせたから。
- 中世の末期、社会システムが変わり出し、多くの経済的成功者が現れた。個人の力で自由に生きていけると思った。個人という概念が誕生。個人に目覚めた金持ちは人間中心の新たな文化「ルネサンス」を作っていった。
- ルネサンス時代に生きた人々はとにかく名誉を欲しがった。その結果多くの人は心の安定を失っていった。
- 生きている意味が見出せなくなると他人からの「承認」が欲しくなる。
- 自由が増えていくにつれて、孤独感、不安感も増大していった。
- 宗教改革が起こり、人間としての無力さの自覚、神への絶対服従を誓った。プロテスタントが誕生。プロテスタントの真面目で禁欲的な態度、服従しやすいマインドが、後の資本主義の発展に繋がっていく。
- 資本主義は強い個人を生み出した。より人間は自由になった。その代償として人間はこれまで以上に孤立し、無力感と恐怖を覚えた。人間は幸福ではなく、お金を求めた。資本主義の中での歯車となり、働いた。自由を求めて資本主義を生み出した人間は、喜んで服従するようになっていった。
- 人間は自由を求める、その中で自由の重さに耐えられなくなると「自由からの逃走」を始める。
自由から逃げたくなる3つの心理
- 権威主義:自分の欠けている力、部分を何かに依存して補おうとする心理。自分と自分以外の何かを融合させようとする。2パターンある。神のような権威ある人にすがるマゾヒズムタイプ、自分が神のようになり他者を服従させるサディズムタイプ。正反対のように見えるが、両者とも何かと繋がり、融合することで孤独を癒し、安心したいと思っている。
- 破壊主義:対象を壊すことで苦しみから逃れたい。自分に無力感や恐怖を与えるものが怖くて仕方ない、だから壊したい。他者を攻撃したりする。対象を破壊することで孤独感、不安感を埋め合わせる。
- 機械的画一性:自分が自分であることをやめる。みんなが美味しいと言えば、自分も美味しいと言う。自分の思考、感情、意志を放棄する。世間に自分を溶け込ませる。孤独感や不安感を感じないようにする。
- 人は何かに依存するか、何かを壊すか、何かに自分を溶け込ませるかをして、自由から逃走する。
- 自由の重荷に耐えられない人間、自由から逃走した人間はアイデンティティを失い、人形となる。
人間には残された道がある、愛を持って世界と向き合え
- 自発的な活動によって自分と世界を結びつけろ。
- 自分自身の思考や感情を自発的に表現する創造的な活動をしよう。
- 現在はネットがあり、自発的な活動の種類も表現の場もたくさんある。
- 自己を表現し、世界とのつながり、人とのつながりを感じられる状況にいれば安定して自由を享受することができる。
- 誰か、何かを愛することも自発的活動。愛は能動的な活動だ。自ら踏み込むものであり、与えるもの。愛は世界とどう向き合うか、関わるかを決定する態度であり、性格の方向性である。
- 愛を持って世界と関わることで人は自由の重荷から解放され、自らを救うことができる。真の自由を手に入れよう。
- 自由は確かに時に重い、ただ自由は人を成長させ、人生を彩り豊かなものとしてくれる。